夜景や星空、花火の撮り方!
露出を理解すれば、夜景も思い通りに!
前章では、カメラの“きほん”『露出!』について、説明しました。
最近のカメラには『夜景モード』『手持ち夜景モード』などが付いていたりして、気軽に夜景が撮れる!と錯覚しがちです。
しかし、それはただISO感度をあげるだけ、絞りを開けて少しでもシャッタースピードを早くするものや、フラッシュ禁止にするだけとか、一回のシャッターで数枚撮ってカメラ内で合成することによって画像荒れを分かりにくくする工夫がされているんですね。
当講座では、「ISOもホワイトバランスも露出だって、カメラ任せにしないでイメージ通りに撮ろう!」が目的です!。
それでは!それぞれのシーンでの夜景の撮り方に付いて解説していきます。
まずは、普通に街の夜景など、風景を撮ってみましょう。
まずは、街の夜景など、風景を撮ってみましょう。
必須アイテムとして、三脚は必要です。前章で解説しましたが、光の情報が少なくなると当然、シャッタースピードが遅くなる。
第7章でも説明しましたが、ISOをあげればシャッタースピードは早くなりますが、特に夜景の場合、暗い部分の画像荒れが目立ちます。
しかし!三脚が無い場合でも、普段三脚を持ち歩いていない時でも大丈夫!
三脚の代わりに平らな地面やベンチなどにカメラを置いて動かないようにするとか、
壁や樹などにカメラの側面を押さえつけて撮るだけでも、相当ブレは収まります。
そして、必須アイテムの二つ目、『シャッターレリーズ』
カメラのシャッターを押した時のわずかな力でも、カメラがぶれるので、スローシャッターになる夜景撮影には必要です。
しかし、これも無ければ、わざわざ買う必要もありません。
私も普段のスナップなどでは、いちいち持ち歩かないので、そんな時はセルフタイマーを3秒とか、手持ちのカメラで設定するだけ!
そうすればシャッターぶれをすることなく3秒後に自然にシャッターが切れるのを利用するのも手!です。
設定モードは、絞り優先かマニュアルモードが基本!!
また、夜間の暗い場所ではオートフォーカスが効かないことがありますので、ライブビューでピントを確認するか、AFスイッチをOFFにして、目測で距離を掴みます。
ISOは200から400程度、絞りは、遠景までくっきり写したければ、F8程度で綺麗に撮れます。
では!
まず三脚を使わず,橋の欄干にカメラを置いて、レリーズの代わりにセルフタイマーで、比較的シャッタースピードを早めにして撮った作例です。
<ISO400・シャッタースピード 1.3秒・絞りF4>
カメラを橋の欄干におくだけでも、感度は少し低めで、絞りも少し絞る程度なら、橋の欄干の上でも、手持ちで撮るのとは違い、充分に綺麗な風景が撮れます。
但し、1.3秒ぐらいだと、川面に映るビルの影を見てもわかるように、ほぼ波が止まった状態に映ります。
ここがコツ!!ーーーーー三脚が手元に無い場合で、カメラをどこかに置いたり、柱や壁にカメラの側面を押し付けて撮る場合は,ぶれにくくなりますが、1~2秒程度までにとどめる様にしましょう。
注) 大地の上の石など、全く動かないものだともっと低感度や絞りこんで、もっとシャッタースピードをゆっくりもいいのですが、橋や歩道橋は人や車が通るだけでも微量に動いていますので,画像の輪郭が甘くなり、あまりの長時間露光には向きません。
次に,しっかり三脚でカメラを固定して、少しゆっくりめのシャッタースピードで撮った場合
<ISO200・シャッタースピード 30秒・絞りF14>
シャッタースピードを30秒にすれば、道路を走る車のライトやテールランプは線のように流れて映るし、絞りをF14ぐらいに絞れば,ライトは放射状に映ります。
ここがコツ!!ーーーーーデジタルカメラの利点の一つは,撮った後でモニターで見られること! なんども試して見て、最適なシャッタースピードを自分で掴みましょう。
30秒以上、もっとシャッタースピードをゆっくりして、肉眼では決して見ることの出来ない幻想的な写真を撮ってみる・・・『バルブ(BULB)撮影』
カメラには30秒まで!などシャッタースピード制限があって、もっと河の流れをもわーんとしてみたいとか、車の軌跡をもっと伸ばしたい、夜空の星が動いていく軌跡を撮りたいなど、30秒どころか数分、数時間の長時間露光をしたい時のために『バルブ』という機能があります。
バルブ撮影とはシャッターボタンを押している間だけシャッターが開く撮影のことで、シャッタースピードの設定は「B」や「BULB」などで表示されます。
- Mモード(マニュアルモード)・・・バルブの設定にはMモードが不可欠です。
- シャッタースピード・・・バルブ(BULB)撮影がおすすめです。または絞り優先。
- 三脚を使用する。・・・今度こそ三脚等でしっかり固定が必要になります。
- レリーズを使用する・・・シャッターを押したままにする機能のついたレリーズが必要。
- ノイズ対策をする・・・デジタルカメラは露光時間が長くなるほどノイズが発生しやすくなるので、カメラについているノイズキャンセル機能をOnにする。また、手ぶれ機能をOFFにすることをおすすめします。
では、長時間露光では、河の流れもどう映るか!? 道路の車のライトはどう流れるか!? 飛行場の飛行機が飛び立つ航跡 光跡は、どう映るのか!? 作例をご覧ください。
<ISO200・シャッタースピード 80秒・絞りF16>
<ISO200・シャッタースピード 70秒・絞りF16>
<ISO200・シャッタースピード 40秒・絞りF9>
<ISO200・シャッタースピード 120秒・絞りF11>
このように、河の流れは、シャッターの空いている80秒の間の流れをすべて写し取るから、もわぁ~んと幻想的に見え、車のテールライトは70秒間の間走っているすべてのライトが映し出され、また、飛行場を飛び立つ飛行機のライトと、主翼の横に点滅するライトが,ポツポツと点になって,映し出されます。また、海の波打際など、雲海の様な幻想的な写真が写せます。
このように人の肉眼では見れない世界が映し出されるのが長時間露光の醍醐味でいて、それが特別な写真というわけではなく,この法則を使えば誰でも撮れちゃうということです。
ここがコツ!!ーーーーーバルブ撮影は,シャッターを押している間だけ何分でも露光できますが、明るすぎたり暗すぎたりするので、露光時間を色々変えてみて、そのシーンにぴったりなシャッタースピードを見つけ出すことがポイントです。
次は,夜空の大輪、花火の撮り方!
バルブ(BULB)撮影で花の様に打ち明け花火を撮る!
こちらも、バルブ(BULB)で撮りますので、できるだけ三脚とシャッターを押したままに固定できるレリーズを用意しましょう。
しかし、レリーズがなくても花火はドン!!と打ち上がってから数秒~10数秒ほどですので、そんな時もマニュアルで10秒前後にして打ち上がると同時に3秒ぐらいのセルフタイマーで撮ることもできます。
・設定はマニュアルでバルブ(BULB)(おすすめ!)
・絞りはF8.0~(非常に明るい光源です。明るさに応じて調整してください)
・ISO感度は100~200(花火の花火の瞬光は強い光ですので、低感度で)
・ホワイトバランスは、晴天などが色が綺麗に出ておすすめです。
<ISO100・シャッタースピード 10秒・絞りF14>
シャッターが開いている10秒間、花火が飛び散るまで写って菊の花の様に映るのが、花火のバルブ撮影のポイントです。
花火を手持ちで瞬間的に写した作例とも見比べて見ましょう。
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天神祭、奉納花火の光景です。
常に揺れている船の上からの撮影ですので、三脚はもちろん使えず、シャッタースピードは手持ちに耐え得る1/100秒、ISO感度は1600、絞りはF5.3です。
見ての通り花火の臨場感は映りますが、花火が開いた瞬間だけが写り、上のバルブ(BULB)撮影のように,菊の花びらのような花火の軌跡は映りません。
また感度を高くしている分、光に対して敏感になるので、コントラストが強くなり、花火が炸裂する瞬間的な明るさの照度と、暗い夜空と組み合わせには、花火を感度を上げて撮るというのがおすすめできないコトの一つです。
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ここがコツ!!ーーーーーバルブ(BULB)撮影時のポイントは、ド~ン!!と上がった瞬間シャッターを押し,開ききった後シャッターを切ります。
また、撮影ポイントを確定する上で風の方向にも注意が必要! 風下にいれば煙で靄ってしまいます。
花火の手持ち撮影での解説にも書きましたが、高感度にすると明るくなりすぎるため、三脚使用時には、ISO100~200程度で、絞りをある程度絞るコトがポイントです。
夜空に満天に輝く星空を撮ってみる!
基本というか、必要アイテムは、今まで説明した夜景や花火の撮影と同じです。
夜景や花火撮影と大きく違うポイントは、星は非常に弱い光で輝いているというコト。
- Mモード(マニュアルモード)・・・バルブの設定にはMモードが不可欠です。
- シャッタースピード・・・10~20秒 星の軌跡を流す時はバルブ(BULB)撮影が必要です
- 絞り・・・光が少ない夜空ではF2.8やF3.5など開放から一絞り程度に持って行きます。
- ISO感度・・・ISO1600前後に感度を高めます。
- 三脚を使用する。・・・三脚等でしっかり固定が必要になります。
- レリーズを使用する・・・レリーズまたはセルフタイマーが必要。
- ノイズ対策をする・・・デジタルカメラは露光時間が長くなるほどノイズが発生しやすくなるので、カメラについているノイズキャンセル機能をOnにする。また、手ぶれ機能をOFFにすることをおすすめします。
<ISO1600・シャッタースピード 10秒・絞りF3.2>
ここがコツ!!ーーーーーこの写真は,日本の最南端 波照間島でのショットです。
星空撮影では、街のビルやネオンの明かりなど光が一番の大敵!できる限り山の上など市街地から離れた場所で撮るのが星を一つでも多く撮るポイント!
また、月の明かりでさえ星の数は半減します。しかし、わざと街並みや山,木々などのシルエットを一緒に入れ込むのも素敵な写真が出来ます。
また、数10分から数時間のバルブ撮影をすれば、北極星を軸に回る天体などを撮影するコトが出来ます。
スローシャッターを理解すれば、今度はいろいろな撮り方で遊んでみる!
夜間の撮影にはスローシャッターは付き物!
まずは楽しんでそれぞれのシーンでの設定になれるコトが一番です。
では!下の写真でヒントをつかんで,いろいろな撮影にチャレンジしてください。^^
<ISO200・シャッタースピード 30秒・絞りF14>
上の写真は、夜の高速道路 もちろん助手席からですが、ダッシュボードの上にカメラを置いて撮ってみました。
<ISO200・シャッタースピード 20秒・絞りF11>
上の写真は『ズーミング』という技法。ズームレンズで、スローシャッター(この場合は20秒間)の間だけレンズをズームすれば,ズームした分だけ迫力のある写真が撮れます。
この場合は、20秒の間に4段階、5秒ずつ順にズームをしたのでカクカクした写真が撮れました。
<ISO200・シャッタースピード 30秒 X 4回・絞りF8>
『多重露光』
滑走路から離陸する飛行機の航跡、光跡ですが、4機分の軌跡を撮り、カメラ無い合成をしたもの。
シャッタースピードが遅くてもカメラを三脚などに固定して出来るだけISO感度を低くして綺麗に撮る夜景や花火!
三脚などなくても,平な場所にカメラを置いたり壁や柱にカメラの側面を抑えつけるなどして数秒以内までのシャッタースピードになるように露出調整する夜景スナップ
明かりが非常に少ない星空を,絞り開放付近、ISO感度を出来るだけ上げて撮る星空撮影
いろいろな夜間撮影に挑戦して、長時間露光(スローシャッター)の感覚が身についたら,どんな撮影にも応用出来ます。
次回は、第11章 マクロな世界を切り撮る!
いろんな手法でマクロ写真を撮ろう!
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