レンジャー前田の写真講座 第11章【マクロ写真】

11章マクロな世界を切り撮る!
いろんな手法でマクロ写真を撮ろう!

 

MKS_4143花を撮るときなど、カメラを持てば誰もが一度は撮ってみたいと思うマクロ写真。

コンパクトデジタルカメラにはマクロモードなどが付いていたり、入門用などのデジタル一眼レフにもマクロモードがあります。
しかし一眼レフやミラーレスなどで本格的にマクロ撮影をするには、マクロレンズ(Nikonではマイクロレンズと呼称)で撮るのが一般的。
本章では、デジタル一眼レフやミラーレスなどマクロレンズでの撮り方をはじめ、高価なマクロレンズを購入しなくても本格的なマクロ撮影が出来る方法もご紹介します。

 

・・まず、本章ではコンデジなど、マクロモードについては、以下の説明程度にします・・
コンパクトデジタルカメラのマクロモードとは!?

 url

マクロ表記

近接でも焦点が合い、大きな倍率で撮れる一眼レフカメラのマクロレンズとは違い、コンデジのマクロモードは接写してピントが合う設定です。
被写体との距離が近すぎて焦点が合わない場合、マクロモードにすることで接写撮影が可能になるのですが…逆にその設定のままだと風景などを撮るときにピントが合わないので要注意!! 撮った後は必ず戻すコト 
入門用デジタル一眼レフカメラなどについているマクロモードとは!?
一部のデジタル一眼レフにもマクロモード(クローズアップモード)というのがありまが、付けているレンズがマクロなるというコトでは無く、マクロに適した設定、カラーモードになる程度で、接写が出来るとか、マクロレンズのように大きく写せるわけではありません。
第11章では、マクロレンズや、以下の方法でのマクロ撮影を解説します    
標準レンズ50mmでの例 マクロフィルター No1. マクロフィルター No3. マクロレンズ 50mm リバースアダプター
KUN_7604 KUN_7605 KUN_7608 KUN_7611 KUN_7623

① マクロレンズ(Nikonではマイクロレンズと呼称)   ¥50,000~¥150,000程度

003

マクロレンズは、普通のレンズと大きく違うのは“撮影倍率”“最短撮影距離”が出来るレンズです

一眼レフカメラ用やミラーレスカメラ用など,各社様々な焦点距離のレンズがあります。

flower2

“撮影倍率(投影倍率)”とは

「最短距離で撮った被写体が、どれだけ大きく写るか?」ということを「数字(倍率)」で表したものです。
一般レンズでは「0.18倍」や「0.25倍」などの値が、マクロレンズでは「0.5倍」とか「0.75倍」で、被写体が写る大きさが1(等倍)や1/1.33倍になります。
倍率の表記は、数字が上がるにつれ被写体を大きく写すことができるのです。
ちなみに、0.25倍はセンサーに写る大きさは25%ほどの大きさに写り、1倍では、等倍 近づいて見た通りの大きさに写るというコトです。

Shoot3

“最短撮影距離”とは

レンズを通して撮像素子(イメージセンサー)から被写体にピントが最短で合う距離を指します。
マクロレンズはこれが短いのが特徴ですが、標準マクロレンズよりは望遠マクロレンズの方が最短撮影距離は長くなります。
マクロレンズは普通のレンズより被写体により寄れて、しかも撮影倍率が大きいので、花など拡大して撮れるのです。

マクロレンズにも焦点距離ごとに50mm、70mm、90mm、105mm、150mm、180mmなどがありますが、倍率が同じ場合、写せる大きさは同じです。
しかし、被写界深度の深い50mmなどの広角と被写界深度の浅い150mmなどの望遠レンズでは、マクロではさらに浅くなるので背景を単なる色として捉えるには望遠マクロレンズが適していて、50mmなど標準系では近接の被写体と背景をシーンとして捉えるという違いがあります。

MKS_4088

 ここがポイント! 
標準レンズに比べAF(オートフォーカス)でピントが合いにくいので、マニュアルでピントを合わせるのがおすすめです。

<< ?各社マクロレンズ比較にリンクしました。>>


 

② マクロフィルター(クローズアップレンズ) ¥2,000~¥8,000程度

filter

手持ちのレンズの前面にねじ込むだけで簡単にマクロ写真が撮れるのがマクロフィルター(クローズアップレンズ)

利点は,比較的安価で、何と言っても手軽に持ち運べるコト!
手持ちのレンズの最短撮影距離を、フィルターを付けるだけでさらに被写体に近づいて接写撮影を楽しむことができます。
他のフィルターと違い透明な凸レンズのマクロフィルターは露出倍数が変わらず、シャッタースピードが変わらないのもメリット。
マクロフィルターにはNO.1からNO.10まであり、NO数値が大きいほど倍率が高くなります。
しかし、すべての品番を買う必要も無く、まずは比較的使い易いNO.2辺りがおすすめで、他もNO.3などを購入すれば 2枚合わせて倍率をさらに上げるコトもできます。(広角レンズなどは二枚重ねの場合ケラレ※が生じることがあります)

※ケラレ・・・フィルター枠が画面の四隅に写り込んで四隅が黒ずんてしまうこと

フィルターNoにより倍率が違います。
種類 各フィルターの焦点距離 像倍率(約) マクロフィルター使用イメージ
NO.1 (約) 100cm 1/20-1/6.5 SMK_4124-1
NO.2 (約) 50cm 1/10-1/5 SMK_4124-3
NO.3 (約) 30cm 1/6.7-1/4 SMK_4124-4
NO.4 (約) 25cm 1/5-1/3 SMK_4124-4
NO.10  (約) 10cm 1/2-1/1.6 SMK_4124-5

 ここがポイント! 
ピントの合う距離が近接の短い範囲だけで、被写界深度が極端に浅くなるのが欠点のマクロフィルター
レンズはMF(マニュアルフォーカス)の状態で、被写体にぐっと近づき、ゆっくり遠ざけて行き、ピントの合う場所を見つけるのが、ピント合わせの早道です。
またレンズが各種あるときは、大きめの物を購入し、ステップダウンリングで対応出来ます。

<< マクロフィルターのリンクです! >>


 

③ リバースアダプター ¥1,500~¥2,000円前後

費用対効果が大で,扱いにくいが一番拡大効果も出る方法です!

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レンズを逆向きにカメラ本体に取り付け、等倍以上の高倍率接写を簡単に行なう接写法です!

リバースアダプターはレンズ前のフィルター部分にカメラマウントの付いたリバースアダプター(リバースリング)をねじ込む事により、カメラマウントに取り付けるコトが出来ます。

また、もう片方のレンズの後ろ、マウントに取り付ける部分にも枠を取り付ける事が出来、フィルターネジ(オス径)が切ってあるので、レンズ保護フィルターを取り付ける事が出来ます。
標準系ズームレンズでは焦点距離を変えると、数10cm~数cmの距離で、等倍~2倍の拡大撮影が可能となります。

reverse2のコピー
●レンズの電気接点が無効になるのでマニュアル露出での使用となります。
●同じくピント合わせもマニュアルフォーカスのみとなります。
●レンズ枠が52mm推奨で、その他のレンズの場合ステップアップ等の組合せで各種の撮影レンズに取付可能。
●広角レンズほど拡大効果が高いので、望遠系のレンズは不向きです。
●鏡筒の太いレンズは、マウント部に当たる場合があるので、おすすめ出来ません。
●カメラ側で絞り調整が出来ないので絞り環のあるオールドタイプのレンズがおすすめで

MKS_4019-3 MKS_4019-4
倍率1倍 倍率2倍

 ここがポイント! 
レンズがない輪の状態の接写リングは、比較的安価で買えるので費用対効果抜群!
そして、拡大効果もマクロレンズ以上で等倍から二倍にまで写せるので、簡単に試せますね。
しかし、レンズを逆さまにするので電気接点が使えず、マニュアルフォーカス、マニュアル露出となります。
マクロフィルターと同様に、被写体にまずグッと近づけて、徐々に遠ざけて行きピントを合わすようにします。

<<< ?のリンクは、各社のリバースアダプターです。ご参考に! >>>


 

④ 中間リング(接写リング又はエクステンション・チューブ) ¥1,000 ~¥8,000 程

カメラ本体とレンズとの間に装着して、レンズ単体の最短撮影距離の状態からレンズの光学系をさらに繰り出した状態にすることで最短撮影距離を縮めるコトができる。リング

接写リングが長いければ長いほど、より被写体に接近して撮影することができ、リングを組み合わせて長くして使用することもできるものです。

 

中間ring2

この普通のレンズの撮影倍率を変化させ接写できるようにする仕組みには、他にも
“ベローズ”というものがあり、カメラボディーとレンズの間に装着して、ジャバラの繰り出しによって無段階に倍率を変化させるものがありますが、¥10,000~数十万と高価になり、持ち運びにも適していないので、一般では、特に費用対効果がないかもしれません。

<<< ?のリンクは、各社の中間リング(エクステンションチューブ)です >>>


 

Matome2マクロレンズは、マクロ撮影だけで無く風景やスナップにも使え、比較的F値の明るいレンズが揃っているので,一本は持っていたいもんですね!

マクロフィルターは、薄いので持ち運びにも便利で、露出計数も変わらないので便利です。

下に再度、すべて同じ焦点距離での撮り比べの表を載せますが,費用対効果がダントツなのは,リバースアダプター!
しかし、AFやAEが使えないのが欠点です。

撮影手法 絞り値 &
撮影距離

卓上の小さなサボテンの撮り比べ
した画像の腕時計は大きさ比較

普通のレンズ 50mmの場合

JAA015DA_01

F4

最短撮影距離
( 約46cm )

KUN_7604

普通のレンズ 50mmに

マクロフィルター No1

filter

F4

最短撮影距離
(約39cm )

KUN_7605

普通のレンズ 50mmに

マクロフィルター No2

filter

F4

最短撮影距離
(約30cm )

KUN_7606

普通のレンズ 50mmに

マクロフィルター No3

filter

F4

最短撮影距離
(約28cm )

KUN_7608

マクロレンズ 50mm

003

F4

最短撮影距離
( 約25cm )

KUN_7611

リバースアダプター
普通のレンズ 50mmに装着

FPW00202_01

 

 F11

最短撮影距離
( 約19cm )

KUN_7623

リバースアダプター
普通のレンズ 24mmに装着

リバースアダプターは、
広角レンズほど,
拡大高価が出るのが分かります

 

 F11

最短撮影距離
( 約12cm )

KUN_7628

次回は、第12章

理屈を理解すれば超簡単!!
キラキラの玉ボケ(丸ボケ)を撮ってみる!

》》》 写真講座のINDEX

 

297撮影依頼などの他にも

学校やサークルなど『レンジャー前田の写真講座』の講義、講習に来て欲しい!などの依頼は喜んで伺いますので、お気軽にお問い合わせください。

 

 

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レンジャー前田の写真講座 第3章【手ぶれ】

3章手ぶれ!?ピンボケ!? 
ぼやけた写真…実は他に原因が!!

 

様々な場所で写真講座を開催させていただいてますが、講義の最後にいつも質疑応答の時間を設けるのですね! brecme

そして、毎回なぜか多い質問に「撮ったら、すぐ手ぶれしてしまうんですが、手ぶれしない撮り方は?」「いつもピンボケ写真ばかりで…どこが悪いんでしょう!?」など質問を受けます。

最近のデジタルカメラには【手ぶれ補正機能】ってのがカメラやレンズに備わっている機種もどんどん出てきていますが、万能というわけではないのです

せっかく撮った写真の「一番撮りたかった主役がぼけてしまっている…」ほど悔しいものはないですよね! 手ぶれ補正が付いている、付いていないに関わらす、ぼやけた写真には手ぶれ以外にも様々な原因が隠されています。

なぜ手ぶれやボケた写真が写ってしまうのか!?今回のWEB講座で、原因がわかれば、きっと解決しることでしょう!

 

手ぶれ

まずは、よく言われる手ぶれというやつですが、特徴は全体的にぼやけてしまって、よく見ると一方向にブレている写真のことです。 

tebure   ※上の写真を見比べて見ましょう。右の写真は手前の女性も背景もブレている

《 原因 》
〇構え方、持ち方が悪い

左手でしっかりカメラを支える!がポイント。 shoot

私、レンジャー前田は元陸自レンジャー隊員なのですが、もちろん小銃射撃は得意分野でした。

一眼レフカメラを初めて構えた瞬間、周りから「レンジャーさん、それ銃を打つ構えやん!」と言われたことも^^

小銃というのもカメラと同じで少しでも構えがブレると、絶対に的に当たらない…それはカメラも同じです。レンジャー前田流構えは、どことなく射撃スタイルでしょう!? 

コツは右の写真のようにしっかり左腕でカメラを支え、その左腕は脇を締めるというより、左肘を左の胸にもたせかける。shoot

そのことによって左腕はしっかりつっかえになってブレないのです。またカメラが身体の重心に近いので、安定して見えると思います。

また、近くに壁や椅子、また屋外では樹などがあれば身体をもたせかけるのも、ブレにくいポイントです。

〇シャッターを押す時に力が入る

実は、これが結構多くて、シャッターを押したときにカメラを持つ手はその押すのに力を入れるため、どうしても手が動いてしまいます。

シャッターを押す指を大きく動かさない。

私が自衛官の時、小銃射撃でも、トリガーを力強く押すと銃までもが小刻みに動いて『がくびき』と言って、的から大きく外れたりします。

左手はしっかりカメラを保持して、右手に力をあまり加えず軽くシャッターに指を載せる感じで力を抜いてそっと押す!がポイントです。

【手ブレ補正付き】のカメラは、この手ブレに対してだけ、しかも高速なシャッターに対してだけ有効なのです。  

 

ピントずれ (ピンボケ)

 

文字通りピントがボケてる写真です。

特徴は、ピントの位置がずれて撮りたかった写真の主役以外のどこかにピントが合い、ピントを合わせたかった物が、手ぶれのようにブレているわけではなく、もわっとした感じで写る

 

pinboke

 

上の写真を見比べて見ましょう。右の写真は手前の女性にピントが会わずにボケている

《 原因 》

〇AF(オートフォーカス)スイッチがオフになっている!・・・カメラのフォーカス設定チェック

〇カメラモードぶれ・・・風景モードのまま近距離の撮影をしてもピントが合わないし、マクロモードのまま少し遠い位置を撮ろうとしてもピントが合わないので、設定を戻す。

〇ピント位置の表示がずれていた・・・慌てず、ゆっくりピントが合ったのを確認して写す!

AF(オートフォーカス)の効きにくい被写体・・・単色で色調や明瞭度が薄い時、空や夜などピントが合いづらいものを撮った時、カメラ側でうまくピントを合わせられなかい時もあります。

また、被写体より背景にピントが合っちゃうこともある。

レンズの画角でも、広角側より望遠側で撮ったときの方が起こりやすいです。

 

被写体ぶれ

 

特徴は、シャッタースピードが遅いため動いている者だけが一方向にずれて写る

Bure

※上の写真を見比べて見ましょう。右の写真は手前の女性が動いている方向にブレている

《 原因 》

〇シャッタースピードが遅い・・・外光が暗い場合や、絞りを絞った場合にシャッタースピードが遅くなるのですが、ISO感度を上げてみたり、ストロボ (フラッシュ)を焚く、また、モード切り変えの出来る機種ではシャッタースピード優先にしたり、絞りを開放側に持っていくと、同じシーンでもシャッタースピードは速くなります。

シャッタースピードの速い遅いのおおよその感覚はシャッターを押した時短く小気味よく「カシャ」なるのがおおよその適性速度で、シャッタースピードが遅いとゆっくり「カッ…シャン」と鳴るので、そのシャッターの開く時間だけ被写体が動いている間が写ってしまうという訳です。

また、シャッタースピードをわざと遅くし、被写体ブレを利用して面白い写真が撮れたりもしますので、ぜひ試してみてください。

SMK_5682 三脚使用で、シャッタースピードをゆっくりにすると走っている車は流れます。
MKS_5950 三脚使用で、シャッターの開いている間にズームを動かします 【ズーミング
RAN_1487 車のダッシュボードの上に固定してスローシャッターで撮った写真。
RAN_5309 三脚使用で空港の飛行機の離陸をスローシャッターで!

 

 

長時間露光】 というように、被写体ブレはコツをつかんで味方に付けると、面白い写真も撮れたりします。

 

Matome2ピンボケは、落ち着いてピントが合っているか確認する。

またシャッタースピードを上げる溜ISO感度を高感度すると、手ぶれ・被写体ブレ両方に効果がありますが、 欠点は感度を上げると絶対に画質が劣化するので、上げすぎない事が大事です。

またその都度低い感度に戻しておく事、マクロモードや遠景モードなどに設定した場合も、元に戻しておく事をお忘れなく!

手ぶれ補正はある程度のシャッタースピードであれば感度を低いままで撮れば画質を劣化させずに暗い場所での撮影が可能になること。しかし欠点は手ぶれにしか効果がありません。

次回は、第4章  《 写真の構図!アングルを少し変えるだけで【写真】が【作品】に! 》

》》》 写真講座のINDEX

 

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撮影依頼などの他にも 学校やサークルなど『レンジャー前田の写真講座』の講義、講習に来て欲しい!などの依頼は喜んで伺いますので、お気軽にお問い合わせください。  

 

 

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