レンジャー前田の写真講座 第13章【 ローアングル】

13章実は“ローアングル”がポイント
奥行き感や臨場感が生まれる!

 

第4章では写真の構図を説明しましたが、構図をとっても今ひとつ写真に起き行き感が足りない・・・そんな事ありませんか!? また、小さな子供や犬や猫など、人のアイレベル(人が立った状態の目の高さ)が実は大切なポイントなのです。
ranger's0917 (78)景色を撮る時、少し低姿勢で撮るだけで遠近感が増したり、子供やペットなどの目の高さに合わせてあげるだけで、ガラッと写真のイメージが変わります。

今回は、“ローアングル”を極める!! をテーマに説明していきます。

この章では、以下の事について、写真を参考に説明していきます。

  • 風景を、ローアングルで撮ってみる!
  • 子供達を撮ると歴然!アイレベルの大切さがわかります
  • や猫などペット達も同じです。目の高さで撮ってみる
  • 草花などをローアングルで撮ると、背景もキレイに写り、遠近感が増す
  • 雨あがり、ローアングルで撮ると、思わね映り込みが撮れる

 

まずは風景を、ローアングルで撮ってみる!

「あっ!キレイ」と思った瞬間、あらゆるシーンを撮ると思うのですが、そこで一呼吸、構図を考えるのはもちろんの事、立った状態からしゃがんで見て撮るとどうなるか!? 作例を見比べながら解説します。

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まずは、アイレベル(立った視点)での撮影 次にローアングルでの撮影
 トンネル構図で遠近感はでますが、臨場感に欠けた絵になります  手前の木の葉の溜まる路面や、色付き出した木々の葉が縦に重なり合い、さらに遠近感とともに臨場感が生まれます
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 まずは、アイレベル(立った視点)での撮影  次にローアングルでの撮影
少しゴチャゴチャした景色ですが、立ったままの視点で撮ると、面白みのない写真になります。 その位置でしゃがみこんで撮った場合、手前の小川がダイナミックなイメージになり、遠近感が増します。

このように、ローアングルで撮るという事は、より手前までフレームに入るので、遠近感を出す三大要素『遠』『中』『近』が一つのフレームに収まり、同じ焦点距離のレンズであっても、近くのものは誇張され、遠くのものはより遠くに見える効果があります。

 

 

 子供たちを撮ると歴然! アイレベルの大切さがわかります

 

私は学校や保育園などの入園案内、入学案内の撮影からデザインまでもよく手がけます。

KUN_3855その時、一番気をつけるのは、子供達の目の高さになって話しかけ、目の高さでカメラを撮ってあげる事。その違いは歴然!! 子供たちを大人視点から見下げて撮ると、子供は大人を見る表情に・・・

でも子供の目の高さ(ローアングル)だと、本当に子供らしい笑顔に一変するんですね。その例をご紹介します。

 

DSC_3704 DSC_3892 のコピー
大人の目の高さから子供を見下げて撮れば! 子供達より、さらに低いぐらいのアングル
見て歴然。撮影中なついて近くになってきてくれるのですが、カメラを見る子供達は、大人を見る表情です。 ローアングルで子供たちより低いぐらいで撮れば、安心するのでしょうか、親近感が枠のでしょうか!? すごくいい表情で笑ってくれます
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大人の目の高さから子供を見下げて撮れば!  子供達より、さらに低いぐらいのアングル
 こちらも、左上の写真と同じです。これでは、本当の子供らしさの笑顔は撮れませんね  教室にしゃがみこんで撮影しています。この後、手につけられないぐらいになついてくれて^^; でも、子供らしい笑顔が撮れました

 

 

 犬や猫などペット達も同じです。目の高さで撮ってみる

相手と同じ目の高さで撮る! これは小さな生き物達だって同じです。

目の高さで撮ると、思わぬいい表情と共に、立ったままだと、背景が地面になるのとは違い、背景が遠くになり遠近感、臨場感が増します。

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ペットのワンコを撮る時も、対話をするように目の高さまでしゃがんであげる事。

カメラの向きも水平になるので、背景も柔らかく映り込む効果があります。

野良ネコのスナップです。

可愛いネコを見つけても、立ったままだと逃げちゃいます。ゆっくりネコの目の高さまで座り込んでやれば、安心してポーズを作ってくれるかも ^^

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池の遠くを見つめ、思いをはせるカモ!と、シーンまで浮かんできそうな写真も、ローアングルだからこそ!

カメラが地面と水平になるので、遠くの背景まで写せ、臨場感が増します。

スズメ達のスナップ

この場合は、ローアングルというより、もう地面にカメラを置いて撮る!

そんなスタイルで撮ると、生き生きした小動物が写せます。

 

 草花などをローアングルで撮ると、背景もキレイに写り、遠近感が増す

草花などを見つけても、立ったまま撮ると花の背景は草と地面の土しか写りませんが、草花の高さまでしゃがみ、または寝転んで撮る事で、遠くの背景まで映り込み、背景の鮮やかさや(第5章参照) 光の玉ボケ(第12章参照) までが撮れたりします。

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花壇の花を地面の根元近くから撮った写真 チューリップも、かなりローアングルで!
マーガレットの奥の花までが、赤く、白くボケて背景が鮮やかになります。 手前の花の前ボケや、奥の花のボケ、そして遠くの濃い緑の植え込みを背景に入れる事でチューリップの輪郭がはっきりします。
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たんぽぽの綿毛と同じ高さにしゃがみこんで キノコを地面すれすれのローアングルから!
綿毛の飛ぶ瞬間を撮った一枚。背景の木々の木漏れ日が丸ボケになり背景が脇役になってくれます。 大地に堂々と生えるダイナミックなイメージが生まれ、背景の木の葉の隙間が丸ボケになり、背景がいきてきます。

散歩などしていて、見つけた草花を見た瞬間も、やはりその見た状態のまま撮ってしまうものです。

しかしいざ写真に撮ると、どうも見たイメージと違う・・・それは、人の目で見た時には周りの景色、光など臨場感があるからです。

その臨場感をどうカメラの構図に入れて、より美しく撮ってやるか!花も、生き物達とおなしように、花の高さまでしゃがみこんで花と対話するように撮る! それがローアングルショットの楽しさでもあります。

 

雨あがり、ローアングルで撮ると、思わね映り込みが撮れる

雨の日、ローアングルで見る世界、思わぬキレイな映り込みが見えてきます。

また、枯れ葉舞い散る秋のシーズン、ローアングルで見る世界は枯れ葉がさらにダイナミックで鮮やかに見えてきます。

時には、犬の視点、ネコの視点で世界を見てみると、思わぬ良いショットという収穫が生まれます。

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 雨が収まった水たまりは、鏡のように風景を映り込みます。

少し視点を低くして見るだけで、より遠くの風景が写り込んできます

紅葉の落ち葉の溜まる水たまりの写真。

やはりローアングルで見ると、思わぬ風景が映り込み写真に深みが出てきます

 

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雨上がり、親子が手を繋いで歩く姿が水たまりに写り込んでいるシーン。

これも、屈み込むからこそ写る景色です。

雨上がりの公園のプロムナードのスナップ

姿勢を低くすると水たまりにベンチが映り込んでくる。

 

 

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被写体に対して、全てがローアングル有利!ということではありません。

しかし、今回の作例を見てもローアングルの効果は歴然としていますよね ^^

是非!被写体を見つけたら一度かがんで見たり、小さな子供、子犬やネコ また、小さな生き物たちの目の高さで撮ってみてください。

思わぬ良い表情や、思わぬ素敵な背景が、きっと写真の中に飛び込んでくると思います。

 

次回は、第14章

執筆中です おたのしみに!

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レンジャー前田の写真講座 第12章【 玉ボケ】

12章

理屈を理解すれば超簡単!!
キラキラの玉ボケ(丸ボケ)を撮ってみる!

 

DSC04699玉ボケ(丸ボケ)とは

写真の背景に柔らかくキラキラした丸い光が、まるでシャボン玉のように浮かんで幻想的なイメージの写真ってありますよね!

木漏れ日や水面のきらめき、イルミネーションなどのいくつもの点光源があるとき、レンズの中の絞りの形にボケて玉状になることを「玉ぼけ(丸ボケ)」といいます。

背景に玉ボケがあると、写真が柔らかいイメージになり、写真に空気感や光のイメージが加算されます。

実は、そんな玉ボケ(丸ボケ)…ボケと名のつくように、要はピンボケ! 理屈さえ覚えれば、簡単に写せるんですね!
レンジャー前田の写真講座 第12章では、そんな玉ボケ(丸ボケ)の撮り方について解説します

玉ボケ(丸ボケ)を作り出すことは、意外と簡単!!・・・ですが、幾つかの条件が必要です。

1. キラキラきらめきゾーンを探し背景に! 【コレが必須】

背景には、点光源のあるシーンを選びましょう。

細かくていくつも点光源があることが、大前提です。

DSC_0521 KUN_71961 SMK_6049
逆光からの木の葉からの木漏れ日 海や川など水面に太陽の反射のきらめきがある場所 沢山の木の葉が太陽の反射でキラキラしているシーン
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葉についた水滴に光が反射したシーン イルミネーションの電球など細かくていくつも点光源 夕陽や朝陽の反射

まずは、被写体の背景に水面のきらめき、や葉についた水滴に光が反射したシーン、イルミネーションの電球など細かくていくつも点光源があることが、大前提です。

 

2. 大きなイメージセンサー・明るいレンズが有利!

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実は、センサーが大きいほど柔らかいボケが創れる!

デジタル一眼のように、まずは撮像素子(イメージセンサー)が大きくてレンズが明るい(解放F値が小さい)ほど有利で、大きく玉ボケを創れる

マニュアルでピント位置を合わせられるタイプ、コンデジでもマクロモードなどが、より手前にピントが合い、背景がボケやすいのでオススメです。

 

3. 広角より中望遠の方が大きな玉ボケが出来る!
KUN_7057 KUN_7057 のコピー
広角レンズの画角 望遠レンズの画角

レンズの焦点距離が、広角より望遠ほど背景が大きくボカせられます。

広角レンズに比べて,望遠寄りのレンズの方が,被写界深度が浅くなるため、玉ボケになる背景の条件が揃えば、大きな玉ボケになります。

また、普通のレンズより近くにピントが合いやすいマクロレンズの方が大きく玉ボケを創れます。

しかし、あまり望遠だと画角が狭くなりすぎ、背景となる部分の範囲が狭くなるのでより多くの玉ボケを背景に映し出すことには適さず、中望遠と呼ばれる標準レンズ 50mm(35mm判)から 100mm(35mm判)程度が綺麗に背景に入り込みます。

 

4. 出来る限り絞りを開けて撮る!

suido9-1左図の左側のように、レンズの絞りを開ける(F2.8など最小絞り)に近づけるほど大きな玉ボケ(丸ボケ)が出来ます。

しかし!! ただ開けるといいというものではなく

慣れていくにつれ、絞りで玉ボケの大きさを調整してその場のイメージを創ることもできます。

コツはレンズやカメラ本体のスイッチをマニュアルフォーカスにして点光源にレンズを向け、手動でレンズのピント位置を遠くから徐々に近くに向けて動かしていくと、「あっ!これが玉ボケかぁ」って解ります

 

5. 被写体をより手前に! 背景は遠ざける! がポイント

被写体を置く場合は、出来るだけピントを合わす対象物を近づけ、さらに被写体と背景を遠ざけると大きく玉ボケを創れます。

Hishatai-2

Hishatai-1

 

また玉ボケ(丸ボケ)のみを撮る場合は、点光源の背景にピントを最短付近に持ってくると大きく玉ボケを創ることができます。

玉ボケが発生するのは、点光源がカメラの被写界深度(ピントがおおよそ合っている範囲)から大きく外れたときです。『被写体を近くに、点光源の背景を遠ざける!』

玉ボケ(丸ボケ)=点光源のある背景のピンボケ と考えるとわかりやすいですね。

 

6. コントラストの強い背景を選ぶ!

KUN_7669逆光時の藪の中に光る木漏れ日や、夜空にイルミネーションなど、『背景が暗い場所に光』という明暗差の大きい(コントラストの大きい)シチュエーションほどハッキリとした玉ボケ(丸ボケ)が創れます。

左画像は、池に写る陽の光の風景をピントが最短付近にした画像が右側の写真

 

では! いろいろな作例でイメージを掴んでみよう!!

レンジャー前田が撮った作例です。

DSC_8723 DSC04699
焦点距離 200mm : F値 4 焦点距離 55mmマクロレンズ : F値 4
 カブトムシの写真:遠くの木漏れ日  川トンボの写真: 小川のせせらぎのきらめき
DSC05365 DSC06052-1
焦点距離 50mm : F値 2.8 焦点距離 55mmマクロレンズ : F値 3.2
 グラスの写真 : イルミネーションを背景に  タンポポの写真 : 林の木漏れ日を背景に
KUN_2708 KUN_4734
 焦点距離 50mm : F値 3.2  焦点距離 55mmマクロレンズ : F値 4
 コーヒーカップ : 海に光るきらめきを背景に  紫陽花の写真 : 木漏れ日や他の紫陽花のボケ
MKS_0371 SMK_0441
 焦点距離150mmマクロレンズ : F値 5.6  焦点距離 150mmマクロレンズ : F値 3.2
 蝶の写真 : 葉や花の隙間に溢れるきらめき  シダの写真 : 清流に輝くきらめきを背景に
SMK_4217 写真 2014-06-29 17 57 17
 焦点距離 300mm : F値 8  焦点距離 135mm : F値 3.5
 水たまりに写る桜 : この写真のみ手前の花びらのきらめきで前ボケの玉ボケ! 絞れば花びらをイメージさす小さな玉ボケに  アガパンサスの写真 : 木漏れ日を使い、まるで打ち上げ花火のイメージで!

 

Matome2

F値をコントロールするので撮影モードは絞り優先オート A(Av)で撮ります。

このとき、絞りを解放付近にするため、光源が明るい場合では露出オーバーになることがあるので、シャッタースピードが点滅しているなど注意し、適時ISOを低感度にするなど対応してください。

フォーカスは、オートで撮るのもいいですが、マニュアルフォーカスにして点光源にレンズを向け、レンズのピント位置を遠くから徐々に近くに向けて動かしていき、確認すると「あっ!これが玉ボケかぁ」って解ります

 

次回は、第13章

実は“ローアングル”がポイント
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